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ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)とは。特徴・わかること・原理・計算方法・欠点

ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)とは

ゲル浸透クロマトグラフィー (GPC) は、高分子材料の分子量と分子量分布を測定するための分析手法です。特に、ポリマーの特性評価において、分子量の大きさが物理的特性に大きく影響するため、GPCは高分子化学において非常に重要な分析技術となっています。

GPCの特徴

  • 分子量と分子量分布の測定: GPCは、試料中の高分子の分子量および分子量分布を測定することができます。分子量分布とは、試料中の異なる分子量を持つ高分子の分布のことを指し、高分子材料の特性に深く関係します。
  • 高分子の物性評価: ポリマーの溶解性、粘度、機械的強度などの物性は、分子量とその分布に依存するため、GPCの結果は材料設計や品質管理に不可欠です。
  • 相対的な測定: 通常、GPCは分子量の絶対値ではなく、標準試料と比較した相対的な分子量を測定します。

GPCで何がわかるのか

  1. 数平均分子量 (Mn): サンプル内のすべての分子の平均分子量。分子量の低い部分を重視します。
  2. 重量平均分子量 (Mw): 分子の重量に比例した平均分子量。分子量の高い部分を重視します。
  3. 分子量分布 (PDI, ポリ分散指数): Mw/Mn で計算され、ポリマーサンプル内の分子量のばらつきを示します。PDIが1に近いほど、分子量の分布が狭いことを示します。

GPCの原理

GPCは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の一種であり、分子のサイズ(体積)に基づいて分離を行います。

  1. カラム: GPCのカラムは、内部に多孔性のゲル粒子が充填されています。試料が溶媒とともにカラムを流れると、高分子分子はゲル粒子の多孔構造に浸透するかどうかで分離されます。
  2. 分離: 小さい分子はゲル粒子の孔に浸透しやすく、カラム内を通過するのに時間がかかります。一方、大きい分子は孔に浸透しにくく、カラムを早く通過します。このため、分子の大きさに応じて分離が行われます。
  3. 検出: カラムを通過した溶出液を検出器で測定し、溶出時間や溶出量のデータを収集します。一般的な検出器には屈折率検出器(RID)や紫外吸収検出器(UV)、光散乱検出器(LS)などが使用されます。

GPCの計算方法

GPCでは、カラムを通過する際の溶出体積や溶出時間に基づいて分子量を推定します。具体的な計算手順は以下のとおりです。

  1. キャリブレーションカーブの作成: 既知の分子量を持つ標準試料(キャリブレーション標準品)を使用して、溶出体積と分子量の関係を示すキャリブレーションカーブを作成します。
  2. サンプルの測定: 測定するサンプルをカラムに通し、検出器で得られた溶出体積からキャリブレーションカーブを用いて分子量を推定します。
  3. 分子量の計算:
  • 数平均分子量 (Mn):
  • 重量平均分子量 (Mw):
  • ポリ分散指数 (PDI):

GPCの欠点

  • 標準試料依存性: GPCの測定にはキャリブレーションカーブが必要であり、標準試料の分子量範囲や化学構造に依存します。サンプルの分子構造が標準試料と異なる場合、分子量の推定に誤差が生じることがあります。
  • 分子構造の影響: 分子の形状や分岐が異なると、同じ分子量でも異なる溶出挙動を示す可能性があるため、絶対的な分子量の測定には適していません。
  • 溶媒の選択: サンプルを完全に溶解する適切な溶媒の選択が必要です。溶解しない場合やゲルに吸着する場合、正確な測定が困難です。
  • 高分子の分解: カラム内で高分子が分解や分子量の変化を起こす場合、正確な測定結果が得られません。

まとめ

GPCは、高分子材料の分子量とその分布を評価するための重要な分析手法です。ポリマーの物理特性に密接に関連するため、材料開発や品質管理に広く利用されています。しかし、測定にはキャリブレーションや適切な溶媒の選択が必要であり、結果の解釈には標準試料との比較が必要です。したがって、GPCは相対的な分子量測定に適しているものの、絶対的な分子量を得るためには他の手法と組み合わせて評価することが重要です。

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