揮発性(volatility)とは主に常温常圧で蒸発しやすい性質です。液体は沸点以上の温度にすれば気体に相転移します。しかし、液体の表面では少しずつ気体に相転移して拡散していく気化現象も起こっています。揮発性は常温常圧で気化する速度が速い性質を意味することもあります。
例えば、髪の毛が濡れたままにしておいても自然に水気がなくなります。水には揮発性があるからです。髪の毛に付着している水の表面からだんだんと水蒸気が出てきて最終的にはなくなっています。
揮発性の高さは物質によって異なります。水は水素結合による分子間相互作用が強いため、揮発しにくい性質がある液体です。一方、有機溶剤やガソリンは相互作用が弱く、高い揮発性を持っています。揮発性が高い物質は空気中に放出されやすく、エアロゾルとして人が吸う可能性が高くなります。揮発性有機化合物(VOC)が人の健康や環境に被害を及ぼすリスクがあるのは気化しやすい性質があるからです。ただ、揮発性が高い物質は蒸留による除去をしやすいため、化成品の製造や半導体の洗浄などで欠かせない役割を果たしています。有害性のある揮発性物質については規制が設けられ、リスクの低い運用をすることが求められています。