揮発性有機化合物(VOC/volatile organic compounds)とは常温常圧で揮発性があり、大気中で気体になる有機化合物です。揮発性有機化合物にはトルエン、メタノール、アセトン、n-ヘキサン、酢酸エチルなどの有機溶剤が主なものですが、スチレンなどのポリマー原料やフェノールなどの防腐剤として用いられる物質なども含まれています。シックハウス症候群の原因物質として知られるホルムアルデヒドも揮発性有機化合物の一つです。
揮発性有機化合物は揮発性の高さや沸点によってVVOC、VOC、SVOCに分類されます。粒子性がある高沸点有機化合物についてはPOMと呼ばれます。
揮発性有機化合物は塗料やインクなどに使用されている有機溶剤やガソリン、灯油などに含まれていて、産業にも生活にも欠かせない物質です。しかし、揮発性有機化合物は浮遊粒子状物質や光化学オキシダントの原因になります。工場では大気中への揮発性有機化合物の排出を防ぐ取り組みが進められ、自動車の排出ガスなどについても揮発性有機化合物の排出量を減らす対策が行われています。日本政府では環境省の主導で揮発性有機化合物の排出規制制度を整え、有害性のある揮発性有機化合物が環境中に放出されないように施策を進めています。