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不飽和ポリエステル樹脂(UP)の歴史
不飽和ポリエステル樹脂(UP)は1937年、C.Ellisによって不飽和ポリエステルにビニルモノマーを混合させると硬化速度がとても早くなることを発見しました。その後、不飽和ポリエステル樹脂(UP)はアメリカで研究開発が進められ、第二次世界大戦時に軍事用目的で戦闘機や航空機部品、船舶、ヘルメットなどに使用されました。日本では、不飽和ポリエステル樹脂が1952年頃に工業化がされ、その優良な物性によって様々な用途に使用されてきました。
また不飽和ポリエステル樹脂は、繊維強化プラスチック(FRP)の原料として、生活の周りで多く使われています。そもそも、ポリエステルとは、エステル結合を持つ高分子化合物です。そのポリエステルには2種類あり、1つは飽和ポリエステル、もう1つは不飽和ポリエステルです。
- 飽和ポリエステル
- 不飽和ポリエステル
熱可塑性・無反応性・不飽和酸を含まないなどの特徴を持っています。具体的には、PBT・PET・飽和ポリエステル・アルキッドなどがあります。
熱硬化性・反応性・不飽和酸を含むなどの特徴を持ちます。また、不飽和ポリエステルには2種類あり、塗料・化粧板・ボタンに使用される非FRP用不飽和ポリエステル(強化繊維無し)と、建設資材・パイプ・波板・電気部品に使用されるFRP用不飽和ポリエステル(強化繊維有り)があります。
不飽和ポリエステル樹脂(UP)の製造方法
不飽和ポリエステル樹脂は、飽和ニ塩基酸と不飽和ニ塩基酸とグリコールの3種類の重縮合を行い不飽和ポリエステルが製造され、その後スチレン触媒などを行って不飽和ポリエステル樹脂が製造されます。不飽和ポリエステルだけでは重合性に欠けるので、スチレンなどを用いて共重合させ硬化させる仕組みです。
不飽和ポリエステル樹脂(UP)の特長
- 様々な成形方法がありますが、一般的なのはFRP成型法や注型です。透明であり耐熱性が良好です。またFRPにした場合は強度が強いです。
- 耐薬品性に関して、酸に強いですが、アルカリに弱いです。
- 電気的特性に優れており、塗料や接着剤に使用されます。
不飽和ポリエステル樹脂(UP)の成形加工条件
FRP(BMC・SMC・FW)、注型などの加工方法に用いられ、FRPは熱硬化性成形機で成形され、注型は常温もしくは加熱によって成形されます。
不飽和ポリエステル樹脂(UP)のメイン用途
非FRP用不飽和ポリエステル(強化繊維無し)では、塗料・化粧板・ボタン・人工大理石・レジンコンクリートなどに使用されます。FRP用不飽和ポリエステルでは、建設資材・パイプ・波板・電気部品・船舶・ヨット・車両・浴槽・浄化槽・便器などの用途に使用されます。