昇華性(sublimability)とは物質が固体から気体に直接変わる性質を指します。多くの物質は相転移をするときには混体から液体を経て気体になりますが、昇華性の物質は液体にならないのが特徴です。
昇華性物質には二酸化炭素、パラジクロロベンゼン、ナフタレンなどがあります。二酸化炭素は常温常圧では気体ですが、冷却すると液体を経ずに固体のドライアイスになります。パラジクロロベンゼンやナフタレンは防虫剤によく用いられている成分です。防虫剤から徐々に昇華して放出されることにより、防虫効果を数ヶ月~数年にわたって発揮することができます。
昇華性物質は液体にならないわけではありません。常圧では液体にならない二酸化炭素も高温高圧にすると気体から液体になります。一般的な物質は低圧、低温になると液体の状態がなくなって昇華性を持つようになります。昇華性物質と呼ばれる物質は常温または常圧で昇華する性質がある物質を指すのが通例です。
例えば、水も低温では昇華性があり、水の昇華はフリーズドライとも呼ばれています。冷凍保存している食品から水分が抜けるのは低温では水が昇華して水蒸気として出ていくからです。昇華性物質は工業でもよく用いられていて、急速凍結と水の昇華を組み合わせるケースが多くなっています。