塩効果(salt effect)とは反応系に塩を添加することで反応速度などが変化する効果を指します。中世塩効果とも言われ、イオン強度の変化による効果を第一種塩効果、共通イオン効果を第二種塩効果と分類することもあります。
溶液に塩を溶解させるとイオンの濃度が上がり、イオン性物質が静電相互作用を受けて熱運動の自由度が減ります。中心イオンの周囲が反対の電荷を持つイオンに取り囲まれる形になり、静電相互作用によるネットワークが形成されるのが特徴です。そのため、溶液中の中性分子についても熱運動が束縛され、反応性が変化する場合があります。
共通イオン効果は定性分析でよく用いられている理論です。飽和食塩水に硝酸ナトリウムを加えると塩化ナトリウムが析出します。飽和していて沈殿になるイオンのうち一方を過剰に加えることで沈殿の析出を促せるのが共通イオン効果です。
高分子化学では重合反応の際に塩を添加することで反応速度が変化し、成長末端の安定性も変わります。重合反応やモノマーの種類によって塩を完全に取り除かなければならない場合も、一定量を添加した方が好ましい結果になる場合もあります。塩効果は重合条件の検討の際に重要なパラメーターの一つです。