ROMP(ring-opening metathesis polymerization)とは開環メタセシス重合です。アルケンを有する環状化合物の重合反応で、Grubbs触媒などのルテニウム触媒やモリブデン触媒などが用いられています。一般的にROMPではひずみのある環状アルケンをモノマーとして使用します。
触媒との反応によって環が開いた際にひずみが解消されるのが原動力となって重合反応が促進されるからです。ROMPで初期から用いられてきたモノマーはシクロペンタンやノルボルネンで、どちらも環ひずみを持っています。シクロオクテンのROMPによる製品開発事例もあり、実用可能な重合技術として注目されています。
ROMPはラジカル重合やイオン重合とは異なり、遷移金属触媒によって反応が進行するのが特徴でした。ただ、遷移金属触媒が高価で触媒回転数を向上させることも必要になる点が製品開発では大きな課題です。そのため、金属触媒を用いないROMPも学術レベルでの研究が進められています。ラジカルカチオンを発生させる手法が主流で、電気化学的手法やLEDによる光照射をトリガーにして成功している事例があります。
ROMPの技術は学術研究段階のものが多いですが、リビング重合への応用の可能性も見出されていて将来展望があります。