ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体とは、ポリ乳酸(PLA・polylactic acid)とポリエーテルのブロック共重合によって合成される樹脂です。ポリエチレングリコール(PEG)などのポリエーテルの両端の水酸基を起点としてラクチドの開環重合によるトリブロック共重合体が初期からおこなわれてきました。ポリ乳酸とエチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体によるマルチブロック共重合体の合成方法も確立されています。
ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体は疎水性の高いポリ乳酸と親水性の高いポリエーテルを持つのが特徴です。生体親和性が高い素材として東レ株式会社が精力的に開発を進めて製品化に成功しています。ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体は生体内で加水分解が起こり、分解によって生じる乳酸やポリエーテルは分解や排出が進みやすい性質があります。そのため、生体吸収性・生体追従性の医療素材の開発に利用されています。
フィラメント化の技術も開発されて手術に使用する縫合糸にも使用可能になりました。また、ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体は生体内での利用だけでなく、環境負荷が小さい生分解性プラスチックとしても注目されています。フィルムを中心として様々な分野で応用が進められてきている素材です。