有機溶剤(organic solvent)とは他の物質を溶解させる性質を持つ有機化合物です。有機溶剤は炭素を有する溶剤なのが特徴で、水素と酸素から成る水は有機溶剤ではありません。
有機溶剤は第1種、第2種、第3種に区分されていて、クロロホルムや四塩化炭素などの一部の有機溶剤は特別有機溶剤に指定されています。第1種有機溶剤では1,2-ジクロルエチレンや二硫化炭素、第3種有機溶剤ではガソリンや石油エーテルが代表的です。第2種有機溶剤は該当物質が多く、メタノール、アセトン、酢酸エチル、トルエン、エチルエーテルなどが該当します。
有機溶剤は塗料やインクなどの溶剤の他、洗浄や化学物質の合成などに用いられています。有機溶剤は揮発性が高く、沸点が低い物質が多いのが特徴です。そのため、作業時に作業者が中毒を起こすリスクがあるだけでなく、大気中に放出されて光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の原因になることがあります。労働安全衛生法では有機溶剤を使用する現場では有機溶剤作業責任者の設置により、安全な職場環境を整備することを求めています。有機溶剤の使用方法や排出方法についても排出基準が設けられていて、大気排出量を減らすための措置が必要とされています。