求核置換反応(nucleophilic substitution reaction)とは求核剤が反応点に求核攻撃をした後、特定の置換基が脱離することで起こる反応です。典型的な求核置換反応にはSN2反応、SN1反応がありますが、他にもSNi反応などのさまざまな種類があります。
SN2による求核置換反応は、求核剤の付加と脱離基の離脱が同時に起こるのが特徴です。求核置換反応の中心になる原子と脱離基の結合に対して、背面から求核剤が接近することでSN2反応が進行します。中心原子と求核剤の間で新たに形成される結合は、中心原子と脱離基の結合とは逆方向になります。そのため、反応点の原子を中心としたときに立体化学の反転が起こるのがSN2反応の特徴です。
一方、SN1反応は置換基の脱離が先行して活性の高い中間体が発生した後に求核剤が付加するメカニズムで進行します。典型的なのはアニオン性の置換基が脱離した後、カチオン性の中間体に対して求核剤が不可する反応です。SN1の求核置換反応では中間体が平面構造を取る場合には立体化学が反転するとは限りません。安定な平面性中間体を通る場合にはラセミ化するのが一般的です。
ポリマーの合成ではカチオン重合やアニオン重合でSN1反応がよく用いられています。反応性の高い活性種を利用するので効率的な合成ができるのが特徴です。