マイケル付加反応(Michael addition)とは米国の化学者Arthur Michaelによって提唱された求核付加反応です。α,β-不飽和カルボニル化合物に対して求核剤が付加する反応で、1,4-付加反応と呼ばれることもあります。広い意味では1,6-付加反応や1,8-付加反応などの共役付加を起こす反応がマイケル付加反応です。
マイケル付加反応を受ける化合物はマイケル受容体と呼ばれます。カルボニル基は電子求引基として重要な役割を果たしていますが、ニトロ基やシアノ基、フッ素基などの他の電子求引基を有する不飽和結合に対する付加反応も進行させることが可能です。
α,β-不飽和カルボニル化合物に対する求核付加反応では1,2-付加反応も進行する可能性があります。一般的にはハードな求核剤で逆反応が起こり得ない求核剤を用いると1,2-付加反応、ソフトな求核剤や逆反応が起こる求核剤を使用するとマイケル付加反応が優先します。マイケル付加反応が進行しやすい求核剤として典型的なのはβ-ケトエステルやマロン酸エステル、アルキル銅試薬です。有機リチウム試薬やGrignard試薬の場合には1,2-付加反応が優先してマイケル付加反応は進行しにくいのが一般的です。