電離(ionization)とは電荷的に中性の分子がカチオンとアニオンに分離する現象です。広義では原子や分子が電子を授受することによってカチオンまたはアニオンになることを指します。狭義では電解質を水に溶解させることでカチオンとアニオンに分離する現象を電離と呼びます。電離はイオン化とも呼ばれる現象で、物理学の分野ではプラスとマイナスの荷電を持つ物質が発生するときに広く用いられている用語です。
電離は水に電解質を溶解させたり、電流によって電子を供給したり、光や熱によって分解を促進するのに必要なエネルギーを与えたりすることで起こります。電離を起こすときには分子を形成する特定の原子間の結合がヘテロリシスを起こして2つの分子になり、一方がプラス、他方がマイナスの電荷を帯びます。プラス・マイナスの電荷をどちらが帯びるかは解離後のそれぞれの分子の性質によって異なり、電気陰性度が高い方がマイナスの電荷を持つのが一般的です。
イオン結合を形成している分子の場合には水などのイオンを安定化させる環境下では自然に電離を起こします。水そのものも一部は電離を起こしていて、プラスの電荷を持つ水素イオンとマイナスの電荷を持つ水酸化物イオンに分かれています。