分子間力(intermolecular force)とは分子同士に働くさまざまな種類の引力です。拡散によって接近した分子の間に分子間力が働くことで分子間反応が起きたり、複合体が形成されたりします。分子間力のエネルギーは結合に比べると低いですが、分子間相互作用に大きな影響があります。
分子間力は静電相互作用によって制御される斥力・引力です。分子が持つ電荷や双極子によって生じた極性によってプラス同士、マイナス同士の部分には斥力が働き、プラスとマイナスの部分には引力が働くのが基本的な仕組みです。分子間力の強さはクーロンの法則によって計算可能で、各分子の持つ電荷に比例し、距離の二乗に反比例するエネルギーになります。
プラスの電荷を持つ陽イオンとマイナスの電荷を持つ陰イオンのイオン間相互作用は強い分子間力を持ちます。双極子モーメントによって生じる極性に基づく双極子相互作用は弱い分子間力の代表例です。特に一時的に誘起された双極子モーメントによるファンデルワールス力は弱いエネルギーの相互作用です。水素結合は広い意味では分子間力に該当します。電気陰性度の高い原子に水素が結合している際に水素原子がプラスの電荷を帯びるため、マイナスの電荷を帯びている官能基と相互作用を起こすという原理です。