ヘテロ原子(heteroatom)とは炭素と水素を除くすべての原子を指します。ヘテロとはギリシア語で「異なる」という意味です。有機化学や高分子化学の分野では、慣用的に炭素と水素を除く非金属原子がヘテロ原子と呼ばれています。
炭素は有機分子の骨格を作り上げている原子で、炭化水素は有機化合物の最も基本になっています。有機化合物は炭素を含有する化合物をもともと指していて、大半の炭素原子には水素原子が結合しています。そのため、炭化水素を基本として、どちらとも異なる原子のことをヘテロ原子と呼んでいます。
ヘテロ原子として典型的なのは窒素、酸素、ハロゲン、硫黄、リンなどです。近年ではホウ素やケイ素などを分子中に取り込んだ化合物の合成も活発におこなわれています。広義では金属原子も含むため、アルミニウムや鉛などもヘテロ原子と呼ぶことが可能です。
ヘテロ原子が含まれることで化合物の物性には大きな違いが生じます。炭化水素は反応性が低いので、化合物合成をするときには酸素や窒素などのヘテロ原子があるのが重要になります。高分子材料の開発では素材の性質や機能性がヘテロ原子によって大きく左右されるため、高分子のデザインをするときにもヘテロ原子の考慮は不可欠です。