グラフトポリマー(graft polymer)とはグラフト重合によって合成された分岐構造を持つポリマーです。グラフト(graft)とは接ぎ木の意味で、ポリマーに成長末端とは異なる反応点を作り出して、接ぎ木をするようにして新しいポリマー鎖を伸長させるのがグラフト重合です。
グラフト重合には連鎖移動法、酸化法、セリウム塩法、放射線照射法などの様々な手法があります。共通しているのはポリマーがもともと持っていなかった反応点を新たに発生させる、またはポリマー合成時に反応しない官能基を使用することによって自由に新しいポリマー鎖を接続できることです。同じポリマーを使用して、違うモノマーでグラフト重合をすれば異なるグラフトポリマーを得られます。もともとのポリマーと新たなポリマー鎖の特徴を併せ持つポリマーを効率的に開発できるのが特徴です。
グラフトポリマーとしてアクリルポリマーがよく用いられています。シリコンと組み合わせて撥水性を付与する、ウレタンを組み合わせて密着性を高めるなどといったさまざまなアプローチで各社がグラフトポリマーを開発しています。グラフトポリマーはマクロモノマーと低分子モノマーによる合成技術も生み出されていて、技術競争が激しい分野です。