エーテル結合(ether bond)とは炭素-酸素-炭素という形式の結合です。炭化水素などの有機化合物が酸素を介して結合しているのが特徴です。エーテル結合が中心になっている有機化合物は一般的にエーテルと呼ばれます。
エーテルとして典型的なのは有機溶剤として用いられているジエチルエーテルやテトラヒドロフランです。ジエチルエーテルは揮発性が高い引火性の液体で、吸入用の麻酔としても昔から用いられています。テトラヒドロフランは環状エーテルの一種で、非プロトン性で溶解性が高い溶媒として活用されています。エーテル結合の形成では脱水縮合または求核置換反応が用いられるのが一般的です。
対称エーテルの合成ではアルコールを強酸性条件下で脱水縮合させることにより大量合成がおこなわれています。また、非対称エーテルはWilliamson合成法がよく用いられています。ハロゲン化アルキルとアルコキシドによる求核置換反応によって合成する方法です。エーテル結合は空気酸化を受けて過酸化物を形成しやすい性質があります。ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどの小分子エーテルの過酸化物は爆発性を有する場合もあるため、酸化防止剤の添加によって自動酸化を防ぐのが一般的です。