酵素反応(enzyme reaction)とは酵素を触媒として進行する反応です。酵素は生物が体内で生合成している機能性タンパク質の総称で、特定の基質を認識して反応を進行させる活性があります。エステル化やアミド化、酸化反応や還元反応などのさまざまな反応を担う酵素がたくさんあります。生物の機能や代謝は酵素によって担われている部分が大きいため、生体維持に大きな貢献をしているのが酵素反応です。
有機化学で酵素反応について言及するときには、酵素を触媒として用いて合成をするという意味合いがあります。酵素には触媒効率が高いものが多くて利用するメリットが大きいため、エステル結合やアミド結合などの形成反応の他、芳香族の重合反応などによく用いられています。
生体内では酵素はタンパク質のような高分子をアミド結合によって生合成しているため、酵素反応はポリマー合成にも利用可能です。フェノール樹脂やγ-ポリグルタミン酸樹脂などの一部の樹脂については酵素反応による合成も成功しています。化学反応によって合成される高分子とは違う高分子を合成しやすい点は酵素反応合成の特徴です。酵素反応は水中で進行することから、環境にやさしい高分子の合成法として注目されています。