一酸化二窒素(N₂O)は2つの窒素原子と1つの酸素原子から成る窒素酸化物です。亜酸化窒素や酸化二窒素とも呼ばれる気体物質で、独特の香りと甘さを持つのが特徴です。
一酸化二窒素は笑気ガスとも呼ばれています。1772年に英国のジョゼフ・プリーストリーによって、吸入すると陶酔感を得られるガスとして発見されました。筋肉弛緩作用や麻酔作用が発見されてからは、医療での全身麻酔剤としての応用が進められました。吸入した人の顔が緩んで笑っているように見えることから笑気と呼ばれるようになったと言われています。他にも燃料の発火促進剤などの用途で一酸化二窒素が用いられています。
一酸化二窒素は地球温暖化係数が310の温室効果ガスです。1997年の京都議定書で排出防止対象となっています。一酸化二窒素の発生源は生産や使用をしている工場や医療施設だけではありません。自動車のガソリンなどの燃料の燃焼でも発生します。窒素肥料からも発生するため、網羅的な排出防止は容易ではありません。しかし、1750年から2021年にかけて24%も大気中濃度が上がっています。そのため、一酸化二窒素の排出削減の取り組みが世界的に進められています。