配位結合(coordination bond)とは2原子間の結合に関与している電子対が一方の原子から供与されている化学結合です。共有結合の場合には2つの原子からそれぞれ1つずつ電子が供与されて結合が形成されます。配位結合の場合には一方の原子しか電子を出さないのが特徴です。配位結合は基本的に共有結合と同様の分子軌道相互作用による結合です。
配位結合にはさまざまな種類があり、典型元素同士の結合もありますが、金属と典型元素の結合も多数あります。典型的な配位結合として有名なのはヘテロ原子のプロトン化です。窒素や酸素などのヘテロ原子の多くは非共有電子対を持っています。非共有電子対を配位結合に使用する電子として、電子を許容できる電子不足の分子との結合を形成することが可能です。アンモニアがプロトンに配位結合してアンモニウムイオンを形成する、水がプロトンに配位結合してオキソニウムカチオンになるというのがよく知られています。また、空軌道を持つホウ素に対してピリジンの窒素が配位した錯体も安定に単離されています。
配位結合はルイス酸とルイス塩基の相互作用によって生じる結合と解釈することも可能です。電子不足のルイス酸に対して、電子対を持つルイス塩基が配位すると結合が形成されます。