芳香族(aromatic)とは不飽和環状化合物でベンゼン環やヘテロ環などの種類があります。不飽和結合や窒素、酸素などの非共有電子対が共役することで、エネルギー的な安定化を受けている環状化合物なのが共通点です。
ベンゼン、ピリジン、フラン、ピロール、ピラジンなどの様々な種類の芳香族化合物があります。
芳香族は電子の共役によって安定化を受けていますが、逆に共役による不安定化を受ける場合もあります。この場合には反芳香族と呼ばれ、電子が共役しないように分子構造が変化するのが一般的です。
芳香族になるか反芳香族になるかはウッドワード・ホフマン則によって判断できます。共役に関与する電子対の数をnとしたときに、奇数の場合には芳香族、偶数の場合には反芳香族です。ベンゼンの場合には3つの不飽和結合が共役をしているので芳香族になります。ピロールは2つの不飽和結合と1つの非共有電子対が共役している芳香族です。しかし、シクロオクタテトラエンの場合には4つの不飽和結合が協約しているため反芳香族になります。
芳香族化合物はエネルギー的に安定なので、樹脂材料にもよく用いられている構造です。ポリスチレンにはベンゼン環が含まれているなど、身近なプラスチックにも芳香族が存在しています。