脂肪族とは炭素のみによって構成される鎖状の骨格を持つ化合物です。最小の脂肪族はメタンで炭素1つから成っています。脂肪族炭化水素にはエタンやアセチレン、プロパンなどのさまざまな化合物があります。
環状化合物は炭素だけで構成されていても脂肪族ではありませんが、直線状ではなく枝分かれをしている骨格でも炭素だけで構成されていれば脂肪族です。脂肪族は炭化水素である必要はありません。カルボン酸やアルコール、アミドやアミンなどの置換基を持っていても脂肪族です。
ただし、基本骨格にヘテロ原子が含まれていてはならず、酸素が含まれていたらエーテルやアルコール、エステルなどに分類されます。
不飽和結合が含まれている場合にも炭素による鎖状骨格を持っていれば脂肪族です。二重結合を持つ脂肪族のエチレンやプロピレンは単独重合によってポリエチレンやポリプロピレンの合成にも用いられている物質です。脂肪族炭化水素の重合によってできたポリマーも脂肪族ポリマーになります。
脂肪族化合物は原油や植物精油などに含まれていることが多く、燃料や香料として活用されています。また、生体内では脂肪族カルボン酸の脂肪酸がエネルギー源としても代謝や生理機能にも重要な役割を果たしています。