化学用語 用語集

吸収スペクトル(absorption spectrum)とは

吸収スペクトル(absorption spectrum)とは物質に多様な波長の光を照射したときに、波長ごとに吸収された光のエネルギーを示したものです。一般的には縦軸を吸光度、横軸を光の波長としてグラフにして図示します。吸光スペクトルを測定するときには一定の強さの光を照射し、物質を透過した光の波長と強度を測定します。物質を通過したことによって弱くなっていたときには、その分だけ物質に吸収されたと判断するのが基本です。 

原子や分子は光をエネルギーとして吸収するポテンシャルを持っています。光エネルギーによって基底状態から励起状態に遷移するのが一般的で、励起状態になった物質は熱エネルギーを放出して基底状態に戻ることが可能です。励起状態の種類や置かれている環境によっては分解反応が進行したり、他の分子との反応が起こったりすることもあります。 

高分子分野では、吸収スペクトルは合成化合物の物性値として測定され、物質の同定や純度検定の目的で用いられます。また、合成高分子の色合いや紫外線遮断効果を特徴付けるための基礎データとしても吸収スペクトルが測定されることが多くなっています。紫外領域や可視光領域の吸収スペクトルを測定することによって定量的に定義できるからです。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-

関連記事

lca cfp

メタセシス(metathesis)とは

メタセシス(metathesis)とは広義には結合の切断と形成が同時に起こり、結合位置の交換が起こる反応です。複分解の一種で、2種類の成分A-BとC-DからA-CとB-Dが生成する過程を指します。塩化 …

lca cfp

エーテル結合(ether bond)とは

エーテル結合(ether bond)とは炭素-酸素-炭素という形式の結合です。炭化水素などの有機化合物が酸素を介して結合しているのが特徴です。エーテル結合が中心になっている有機化合物は一般的にエーテル …

lca cfp

オゾン層破壊係数(ODP)とは

オゾン層破壊係数(ODP / Ozone Depletion Potential)とは大気中に放出された気体物質が成層圏にあるオゾン層を破壊する強さを示す指標です。標準物質としてフロン類のCFC-11 …

lca cfp

【射出成形】反り(そり)の不良原因と改善対策

射出成形の反り(warpage)不良とは、冷却プロセスのある要件を原因として、成形品の形状が不良変形してしまうことです。金型の反りにより、成形品が折り曲げられたり、曲がったり、ねじれたりするなどの不良 …

lca cfp

ガラス転移点 とは

ポリマー分子の熱運動について、その特性が急激に変わる転移温度があります。その転移温度には、大きく分けて2つのポイントがあり、ガラス転移点と融点が存在します。 熱可塑性樹脂の結晶性樹脂は、かかる温度が融 …