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滑り性(摩耗特性)の測定方法種類一覧比較表

以下は、樹脂プラスチックの滑り性(摩擦特性)を測定するための代表的な方法をまとめた比較表です。滑り性は、材料の表面が他の物体との接触でどれだけ摩擦抵抗を持つかを評価するために測定され、これにより材料の適用性や加工性が判断されます。

樹脂プラスチックの滑り性測定方法の比較表

測定方法概要測定対象評価する特性利点欠点代表的な規格
静摩擦係数測定材料の表面に他の物体を置き、動き始めるまでの力を測定固体表面静摩擦係数(COF)初期摩擦を評価できる初動のみに焦点を当てるASTM D1894, ISO 8295
動摩擦係数測定材料の表面で他の物体が滑る際にかかる抵抗力を測定固体表面動摩擦係数(COF)動的な摩擦の評価が可能静的な摩擦を考慮しないASTM D1894, ISO 8295
リング/ディスク試験 (Pin-on-Disk Test)固定されたピンや円盤が回転する材料表面上で摩擦を測定固体表面(主に滑り部品)摩擦力、摩耗量材料の摩耗特性も評価可能試験条件の影響を受けやすいASTM G99
インクライングレイン法 (Inclined Plane Test)傾斜面を利用して物体が滑り始める角度を測定固体表面静摩擦係数測定装置が簡単実験条件が限定的
スリップ/スティック試験 (Slip-Stick Test)連続的な動きと停止の間の摩擦を測定固体表面(接触部品)動的な摩擦力実際の使用条件に近い評価が可能測定が複雑
摩擦圧縮試験 (Tribometer)接触物体に圧力をかけ、摩擦の変化を測定固体表面(摩耗材料)摩擦係数、摩耗量圧力や温度の影響も評価可能装置が高価、時間がかかるASTM G115, ISO 7148
フォールデン・スレッド法 (Fowler and Thread Method)布や糸を材料の表面で滑らせて摩擦を測定滑りやすい材料摩擦係数繊維や布に適用可能他の材料には不向き
摩擦測定器 (Friction Tester)設定された速度と荷重で材料を引っ張り、摩擦を測定薄膜やシート材料動摩擦係数、滑り性均一な条件での摩擦を測定大型装置が必要ASTM D1894

1. 静摩擦係数測定

  • 概要: 物体が滑り始めるまでに必要な力を測定し、材料の静的摩擦を評価します。物体を材料の表面に置き、滑らせるのに必要な力を測定することで、静摩擦係数(COF)を求めます。
  • 利点: 材料の初動時の滑りやすさを評価するのに適しています。
  • 欠点: 動的な滑りに対する評価ができない。

2. 動摩擦係数測定

  • 概要: 材料表面上で物体が滑り続ける際に発生する摩擦抵抗を測定します。静摩擦が発生した後の滑り状態での摩擦係数を評価します。
  • 利点: 実際の運用条件下での滑りやすさを評価でき、持続的な摩擦特性を把握できます。
  • 欠点: 初期の静摩擦については評価できません。

3. リング/ディスク試験 (Pin-on-Disk Test)

  • 概要: 固定されたピンや回転するディスクを材料表面に押し付け、回転中の摩擦力を測定します。接触部品や摩耗部品における摩擦力を評価するために使用されます。
  • 利点: 摩擦だけでなく、摩耗量も同時に評価できるため、実使用に近い状態での評価が可能です。
  • 欠点: 試験条件(圧力、回転速度、温度)に敏感で、結果がそれらに大きく依存します。

4. インクライングレイン法 (Inclined Plane Test)

  • 概要: 傾斜をつけた平面上で物体を滑らせ、滑り始める角度(臨界角)を測定して静摩擦係数を評価します。
  • 利点: シンプルな装置で測定可能で、主に簡易的な摩擦評価に用いられます。
  • 欠点: 試験条件が限定され、正確な定量的評価が難しい場合があります。

5. スリップ/スティック試験 (Slip-Stick Test)

  • 概要: 連続的な滑りと停止の状態(スリップ/スティック現象)を観察し、摩擦を測定します。自動車や機械の部品など、周期的に滑る条件下での摩擦評価に使用されます。
  • 利点: 実際の操作環境に近い条件での評価ができ、滑り始めと停止時の摩擦の変化を把握できます。
  • 欠点: 測定装置が複雑で、データの解析が難しいことがあります。

6. 摩擦圧縮試験 (Tribometer)

  • 概要: 材料に圧力をかけながら、滑り摩擦を測定する装置です。高圧条件下での摩擦係数や摩耗の評価に使用されます。
  • 利点: 圧力や温度、回転速度の影響を評価できるため、厳しい条件下での摩擦特性を測定するのに適しています。
  • 欠点: 測定装置が高価で、時間がかかることがあります。

7. フォールデン・スレッド法 (Fowler and Thread Method)

  • 概要: 布や糸を材料の表面で滑らせ、摩擦を測定する方法。主に繊維や布に適用される摩擦測定方法です。
  • 利点: 繊維や布の滑り特性を評価するのに適しており、繊維産業で広く使用されています。
  • 欠点: 繊維や布以外の材料には適用しにくいです。

8. 摩擦測定器 (Friction Tester)

  • 概要: フィルムやシート材料に特化した摩擦測定器で、設定した速度と荷重で材料を引っ張り、動摩擦係数を測定します。
  • 利点: 均一な条件で精密な摩擦測定が可能で、製造業で広く使用されます。
  • 欠点: 大型の装置が必要で、設置にスペースを要します。

まとめ

樹脂プラスチックの滑り性を測定する方法には、静摩擦係数と動摩擦係数の測定を基本とするものから、実際の使用条件に近い状態での摩擦評価を行う試験までさまざまな手法があります。材料の用途や要求される特性に応じて、最適な測定方法を選択することが重要です。

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