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樹脂プラスチック電気材料の特徴比較一覧表

以下は、樹脂プラスチック材料の電気的特性に関する比較表です。表に含まれている情報は、一般的に重要な電気材料の特性である「誘電率」、「誘電正接」、「耐電圧」、「体積抵抗率」、「熱膨張係数」、「軟化点」などを含めています。ただし、具体的な測定データは材料の種類や製造条件により変動するため、一般的な範囲を示します。

材料名測定温度 (°C)誘電率 (1kHz, 10kHz, 1MHz)誘電正接 (1kHz)耐電圧 (kV/mm)体積抵抗率 (Ω・cm)熱膨張係数 (10⁻⁶/K)軟化点 (°C)
メラミンホルムアルデヒド樹脂253.8 – 4.50.0218-2510¹³ – 10¹⁴100-120130-145
クレゾールホルムアルデヒド樹脂254.0 – 5.00.0315-2010¹³80-100120-135
ポリアミド(ナイロン6.10)253.0 – 4.00.0215-2010¹² – 10¹³80-90215-220
メチルスチレンスチレン共重合樹脂252.4 – 2.70.0015 – 0.002510-1510¹⁶70-8095-110
ポリメチルメタクリレート (PMMA)252.6 – 2.80.0420-2510¹⁴ – 10¹⁵60-70105-110
ポリエチレン(1%酸化防止剤含有)252.2 – 2.40.0004 – 0.000520-3010¹⁶ – 10¹⁷150-20090-100
ポリイソプチレン252.2 – 2.50.000215-2010¹⁶180-19070-80
ポリスチレン(25%ジクロルスチレン含有、58.1% TiO₂, 41.9%)252.5 – 2.70.00120-2510¹⁶70-8095-105
ポリスチレン(35%ジクロルスチレン含有、34.7% TiO₂, 65.3%)252.6 – 2.80.001520-2510¹⁶70-8095-105
ポリスチレン(25%ジクロルスチレン含有、18.6% TiO₂, 81.4%)252.5 – 2.70.00120-2510¹⁶70-8095-105
ニトロセルロース(しょうのう25%含有)252.0 – 3.00.0110-1510¹² – 10¹³120-14070-80
フェノールホルムアルデヒド樹脂(マイカ71%)253.5 – 4.50.0218-2010¹³50-70150-160
アニリンホルムアルデヒド樹脂(マイカ58%)254.0 – 5.00.0318-2010¹²50-70120-140
ジヒドロナフタレンテトラマー252.5 – 3.00.001510-1510¹⁵70-8080-90
塩化ビニリデン塩化ビニル共重合樹脂254.5 – 6.00.0625-3010¹³ – 10¹⁴90-12070-80
100%ポリ塩化ビニル (PVC)253.0 – 4.00.0115-2510¹⁵50-8075-80
ポリ塩化ビニル(62.5%)+ ポリ酢酸ビニル(29%)+ 可塑剤(8.5%)254.0 – 5.00.0410-1510¹³60-8070-80
二塩化ビニリデン(5%酢酸ビニル含有ポリ塩化ビニル)253.5 – 5.00.0220-2510¹³ – 10¹⁴70-9075-80

説明

  • 測定温度: 一般的に測定される室温(25°C)での電気特性を示しています。温度によって特性は変動する場合があります。
  • 誘電率: 材料の電気絶縁性を示す指標で、高いほど電気を通しにくく、誘電特性が強いことを意味します。
  • 誘電正接 (tan δ): 材料が電気エネルギーを熱として失う割合を示す指標で、低いほど損失が少ないことを意味します。
  • 耐電圧: 材料が耐えられる最大の電圧を示します。高いほど絶縁性能が優れていることを意味します。
  • 体積抵抗率: 材料の電気抵抗の大きさを示す指標で、高いほど絶縁性能が良いです。
  • 熱膨張係数: 温度が1°C上昇する際に材料がどの程度膨張するかを示します。低いほど、熱による変形が少ないことを示します。
  • 軟化点: 材料が熱で柔らかくなり始める温度です。高いほど耐熱性が高いことを意味します。

まとめ

この一覧表では、各樹脂プラスチック材料の電気特性を比較しました。用途に応じて、必要な電気的・機械的特性に最も適した材料を選定することが重要です。たとえば、絶縁特性が重視される場合は、体積抵抗率が高く、誘電正接が低い材料が適しています。

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