プラスチックの難燃性に関する規格は、材料が火に対してどれだけ抵抗できるかを評価するための基準です。以下に、主な難燃性規格をまとめました。
プラスチックの難燃性に関する主な規格
1. UL 94(アメリカ合衆国)
- 概要: UL 94は、プラスチック材料の燃焼性を評価するための規格で、主に電子機器や電気機器に使用される部品に適用されます。この規格では、材料が垂直および水平に取り付けられた際の燃焼挙動を評価します。
- 分類:
- HB: 水平燃焼試験で最も難燃性が低い。燃焼速度が76mm/min以下。
- V-0, V-1, V-2: 垂直燃焼試験の分類。V-0は最も難燃性が高く、炎が消えるまでの時間が10秒以下で、滴下物が燃焼しない。
- 5VA, 5VB: 垂直面での試験。5VAは最も高い難燃性を示し、試験後に穴が開かない。
2. IEC 60695(国際電気標準会議)
- 概要: IEC 60695は、電子機器の部品や材料に対する燃焼試験を行う規格で、難燃性の評価を目的としています。IEC 60695はUL 94と似た試験方法を採用していますが、国際的に広く使用されています。
- 試験内容:
- 灼熱線試験: 高温のワイヤーを使用して材料の発火性を評価。
- グローワイヤーテスト: 電気部品の発火性を測定。
3. ISO 4589(国際標準化機構)
- 概要: ISO 4589は、酸素指数(LOI: Limiting Oxygen Index)を使用して材料の燃焼性を評価する規格です。この試験では、材料が燃焼を維持するために必要な最小酸素濃度を測定します。
- 分類:
- ISO 4589-1: 燃焼性試験の一般原則を示します。
- ISO 4589-2: 供給酸素量を変化させた試験による酸素指数の測定。
- ISO 4589-3: 引火点が高い材料の酸素指数測定方法。
4. DIN 4102(ドイツ)
- 概要: DIN 4102は、建材や部品の燃焼挙動を評価するためのドイツ規格です。プラスチックの難燃性もこの規格に従って評価されることがあります。
- 分類:
- B1: 難燃性材料(ほぼ自己消火性)。
- B2: 正常燃焼性材料(可燃性)。
- B3: 高可燃性材料。
5. EN 13501-1(ヨーロッパ)
- 概要: EN 13501-1は、建築材料および構造部材の燃焼挙動を評価するためのヨーロッパ規格です。この規格は、難燃性の評価に使用され、プラスチック製品が建材として使用される場合によく適用されます。
- 分類:
- A1, A2: 不燃材料。
- B, C: 難燃材料。
- D, E: 可燃材料。
- F: 試験されていない材料。
6. FMVSS 302(アメリカ合衆国)
- 概要: FMVSS 302は、自動車内装部品の燃焼性を評価するためのアメリカの規格です。車両の安全性を確保するため、車内で使用されるプラスチック部品に対して適用されます。
- 基準: 水平燃焼速度が102 mm/min未満であること。
7. GB 8624(中国)
- 概要: GB 8624は、中国における建材の難燃性に関する規格です。この規格は、材料の燃焼性能を評価し、建築物の火災安全性を確保するために使用されます。
- 分類:
- A1: 不燃材料(燃焼しない)。
- A2: ほぼ不燃材料(限られた燃焼)。
- B1: 難燃材料(自己消火性がある)。
- B2: 普通燃焼性材料(可燃性)。
- B3: 高可燃性材料(容易に燃焼)。
8. GB/T 2408(中国)
- 概要: GB/T 2408は、プラスチック材料の酸素指数(LOI)を測定するための規格です。材料が燃焼するために必要な酸素濃度を評価します。
- 基準: LOIの値が高いほど、材料の難燃性が高いことを示します。
9. GB/T 5463(中国)
- 概要: GB/T 5463は、プラスチック材料の燃焼試験に関する規格で、特に自動車部品などの難燃性を評価します。
- 試験方法: 垂直燃焼試験や水平燃焼試験を用いて材料の燃焼挙動を測定します。