化学用語 用語集

HSAB則とは?酸塩基反応の予測

HSAB則(Hard and soft acid and base theory)とはラルフ・ピアソンによって報告された酸塩基反応の予測に用いられる定性的な法則です。HSABとはHard、Soft、Acid、Baseの頭文字で、酸(Acid)と塩基(Base)を硬い(Hard)、軟らかい(Soft)という概念で分類して酸と塩基の反応性について相性の良さを予測するのが特徴です。 

硬さ・軟らかさは電気陰性度・電荷密度・分極率の大きさを主な指標として評価できます。電気陰性度が低く、電荷密度が高く、分極率が小さいのが硬い酸です。プロトンやナトリウムイオンなどが該当します。軟らかい酸は銀イオンや四級アンモニウムカチオンなどが代表例です。 

硬い塩基は電気陰性度が高く、電荷密度が高く、分極率が小さい性質があり、水酸化物イオンや炭酸イオンなどが該当します。軟らかい塩基はπ共役系を持つ分子が多く、ベンゼンやヨウ素などが典型例です。 

HSAB則では硬い酸と硬い塩基、軟らかい酸と軟らかい塩基が反応しやすいと予測するのが基本です。硬さを評価する定量的指標として化学硬度もラルフ・ピアソンによって提唱されていますが、一般的には電気陰性度や分極率に基づいて定性的な反応性の判断に用いられています。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-

関連記事

lca cfp

酸化反応・還元反応(oxidation reaction/reduction reaction)とは

酸化反応・還元反応(oxidation reaction/reduction reaction)とは表裏一体の関係にある物質の酸化・還元を伴う化学反応です。酸化反応は物質に酸素原子が付与されるか、電子 …

表面粗さ Ra/Rz。測定方法について

樹脂プラスチックの表面粗さの計測方法と機器 表面粗さの計測は、プラスチックや樹脂製品の品質管理に欠かせない工程です。表面の状態は、接着、摩擦、光沢、耐久性など、製品の性能に大きな影響を与えます。本記事 …

lca cfp

1,3-双極子(1,3-dipolar)とは

1,3-双極子(1,3-dipolar)とは3つの原子が共有結合をしていて、形式電荷を持つ2つの原子とπ結合によって形成されている共鳴構造を持つ分子構造です。プラスの形式電荷を持つ原子が中心になり、隣 …

lca cfp

ROMP(ring-opening metathesis polymerization)とは

ROMP(ring-opening metathesis polymerization)とは開環メタセシス重合です。アルケンを有する環状化合物の重合反応で、Grubbs触媒などのルテニウム触媒やモリブ …

lca cfp

高分子電解質(Polyelectrolyte)とは

目次1 高分子電解質の一般特性2 高分子電解質の物理化学的性質3 市販の高分子電解質4 高分子電解質の用途例 高分子電解質の一般特性 高分子電解質は、繰り返し単位に解離基を持つポリマーです。それらは、 …