有機塩素化合物(organochroine compounds)とは塩素原子を含有する有機化合物です。最も単純な有機塩素化合物は炭素原子に3つの水素原子と1つの塩素原子が結合した塩化メチル(クロロメタン)です。狭義では炭素・水素・塩素から成る有機化合物を指しますが、広義では窒素や酸素、他のハロゲンなどを含む場合にも有機塩素化合物と呼びます。
炭素原子に対して2つの水素原子と2つの塩素原子が結合した塩化メチレン(ジクロロメタン)や1つの水素原子と3つの塩素原子が結合したクロロホルムは有機溶剤としてよく用いられています。トリクロロエタンやテトラクロロエチレンなどの有機塩素化合物はドライクリーニングに使用されています。DDTやペンタクロロフェノールなどの殺虫剤、塩化ビニルなどの樹脂、スクラロースなどの甘味料、ラモトリジンやイソフルランなどの医薬品のように有機塩素化合物はさまざまな用途で用いられている化合物群です。
有機塩素化合物は天然物にも存在していますが、多くの有機塩素化合物は人工的に合成されています。有用性の高い物質が多数開発されているものの、有機塩素化合物の中は人に対する毒性や環境への残留性を持つ物質もあります。ダイオキシン類やDDT、フロンやホスゲンなどの一部の有機塩素化合物は規制を受けています。