化学用語 用語集

電子環状反応(pericyclic reaction)とは

電子環状反応(pericyclic reaction)とは共役しているπ電子系における協奏的な環状化合物の形成反応です。広義では環状化合物が開環する反応も電子環状反応と呼びます。ペリ環状反応とも呼ばれています。電子環状反応は複数の結合形成が同時に進行するのが特徴です。

典型的なのはDiels-Alder反応で、ジエンとアルケンが協奏的に反応して二つの結合が同時に形成されます。Diels-Alder反応では2つの異なる分子が結合して環状構造を形成しますが、電子環状反応では単分子で環状構造を形成する場合もあります。ブタジエンとシクロブテンの相互変換が典型的な単分子での電子環状反応です。電子環状反応では一般的にπ電子系の両端で新しいσ結合が形成され、π共役系は短くなります。分子内反応・分子間反応のどちらの場合にも分子軌道の対称性が満たされているときのみ反応が進行します。

結合形成の際には電子環状反応に関与する電子数によって立体化学が変わるのも特徴です。結合に関与する電子数が偶数の場合には熱的プロセスでは同旋的、光的プロセスでは逆旋的になります。電子環状反応に関わる電子数が奇数の場合には熱的プロセスでは逆旋的、光的プロセスでは同旋的に反応します。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-

関連記事

lca cfp

プラスチック材料の【摩擦・摩耗性】

摩擦係数は、F=μWで表すことができ、F=摩擦力、W=荷重、μ=摩擦率(静)です。また、摩擦率には「μs=静摩擦率」と「μd=動摩擦率」の2種類があります。摩擦率は荷重、温度、すべり速度、表面の潤滑状 …

lca cfp

シリコン樹脂(SI樹脂/Silicon/ケイ素樹脂)とは

シリコン樹脂(SI樹脂、ケイ素樹脂)とはオルガノポリシロキサン骨格を持つケイ素(Si)ベースの合成樹脂です。シリコンと酸素の強い結合を利用して製造されている樹脂で、シリコン製品に使用されている基本的な …

lca cfp

アミノ酸(amino acid)とは

アミノ酸(amino acid)とはアミノ基とカルボキシル基を有する化合物です。狭義ではアミノ基とカルボキシル基が同じ炭素原子に結合しているα-アミノ酸を指しますが、隣接する炭素にそれぞれアミノ基とカ …

ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)とは。特徴・わかること・原理・計算方法・欠点

ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)とは ゲル浸透クロマトグラフィー (GPC) は、高分子材料の分子量と分子量分布を測定するための分析手法です。特に、ポリマーの特性評価において、分子量の大きさが物理 …

lca cfp

有機分子触媒反応(Organocatalysis)とは

L-proline 有機分子触媒反応(Organocatalysis)とは古くから化学反応の触媒としてよく用いられてきた金属を用いずに、有機分子を触媒として用いる反応です。 医薬品合成などの精密有機合 …