特定フロン(specified freons)とはオゾン層を破壊する物質としてモントリオール議定書で定義されたフロン類です。オゾン層破壊係数が大きいCFCがまず生産・排出・貿易の規制対象となり、オゾン層破壊係数が比較的小さいHCFCが次の対象として削減が進められています。CFCについては1996年の時点で世界で全廃されました。HCFCは2030年に世界全体での廃止を達成するため、代替フロンへの置き換えが進められています。
モントリオール議定書で最初に特定フロンとして定義されたのはCFC-11、CFC-12、CFC-113、CFC-114、CFC-115のみでした。しかし、モントリオール議定書ではオゾン層を破壊する恐れがある物質の特定も目的としているため、後の改正でHCFCも含めて対象のフロンが追加されています。
特定フロンは塩素原子を含み、紫外線によって光化学反応を起こして塩素ラジカルを発生させる性質があるのが特徴です。塩素ラジカルがオゾンと反応し、生じた一酸化塩素ラジカルがさらにオゾンと反応すると塩素ラジカルが再生されます。このようなラジカル連鎖反応によってオゾン層が破壊されるため、特定フロンは地球環境を守る目的で厳しい規制が急速に進められました。