光化学反応(photochemical reaction)とは物質に光を照射することによって引き起こされる化学反応です。物質はさまざまな波長の光を吸収して励起される性質を持っています。光の波長によって吸収できるかどうかには違いがあり、分子の持つ官能基や構造によって吸収波長の特性が異なります。励起波長を吸収すると励起が起こり、熱反応では起こらない特徴的な反応が引き起こされます。熱輻射によって励起状態から基底状態に戻ることも多いですが、酸化還元反応や異性化反応、分解反応などが起こると多様な反応の起点になります。
光化学反応として典型的なのはホモリシスやヘテロリシスです。光の吸収によって高エネルギーの励起状態になり、炭素-塩素結合や炭素-臭素結合、酸素-酸素結合などの結合エネルギーが低い結合が切断されてラジカル種が生じる反応が起こります。
ラジカル種が他の分子と反応して、新たなラジカルを生じるプロセスによってラジカル連鎖反応が進みます。ポリマー合成ではラジカル重合でよく用いられている手法で、適切な波長の光を照射することで反応を開始することができます。他にも光化学反応は熱的反応とは異なる電子環状反応を促進するなど、さまざまな用途で活用されています。