化学用語 用語集

メタセシス(metathesis)とは

メタセシス(metathesis)とは広義には結合の切断と形成が同時に起こり、結合位置の交換が起こる反応です。複分解の一種で、2種類の成分A-BとC-DからA-CとB-Dが生成する過程を指します。塩化ナトリウム水溶液に硝酸銀を添加すると、塩化銀と硝酸ナトリウムが発生するのは無機化学における典型的なメタセシスです。塩化銀の溶解性が低い点を利用した塩化物イオンの定量法として活用されています。 

狭義のメタセシスは有機化学におけるアルケンメタセシスやアルキンメタセシスを指します。アルケンメタセシスでは二重結合の組み換えが起こるのが特徴で、2種類の成分A=BとC=DからA=CとB=Dが生成する反応です。アルキンメタセシスでは三重結合の組み換えが起こります。有機化学におけるメタセシスではルテニウム、タングステン、モリブデンなどの遷移金属触媒を用いる平衡反応が一般的です。分子間反応(クロスメタセシス)にも分子内反応(閉環メタセシス)にも利用することができます。

アルケンをタグとしてポリマー合成に応用することも可能で、ROMP(開環メタセシス重合)などの応用例があります。重合後のアルケンを架橋剤で修飾可能なので機能性ポリマーの合成への応用が期待されています。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-

関連記事

lca cfp

クロスカップリング反応(Cross Coupling Reactions)とは

クロスカップリング反応(Cross Coupling Reactions)とは異なる二種類の分子を結合させる反応を全般的に指します。同じ種類の分子を結合させるのがホモカップリング反応と呼ばれるのに対し …

lca cfp

引張試験の種類・方法・試験片厚み

樹脂プラスチックの引張試験は、材料の機械的特性、特に引張強度、伸び、弾性率などを評価するための基本的な試験です。引張試験は、特に成形品やフィルム、シートなどの製品開発や品質管理で広く使用されます。以下 …

lca cfp

マルチブロック共重合体(multiblock copolymer)とは

マルチブロック共重合体(multibloc copolymer)とはブロック重合によって合成されるポリマーの一種です。オリゴマーやポリマーを単位として共重合するブロック共重合体の中で、ブロックが複数あ …

lca cfp

配向力・誘起力・分散力から成るファンデルワールス力

ファンデルワールス力(van der Waals’ force)とは19世紀から20世紀に活躍した物理学者ヨハネス・ディーデリック・ファン・デル・ワールスによって提唱された分子間力の1つで …

lca cfp

EEA(エチレン・アクリル酸エチル共重合体/Ethylene-Ethyl Acrylate copolymer)とは

目次1 EEAとは2 EEAの特性3 EEAの用途 EEAとは EEAとはエチレン・アクリル酸エチル共重合体です。英語ではEthylene-Ethyl Acrylate copolymerなのでEEA …