酸化反応・還元反応(oxidation reaction/reduction reaction)とは表裏一体の関係にある物質の酸化・還元を伴う化学反応です。酸化反応は物質に酸素原子が付与されるか、電子が奪われる反応を指します。還元反応は水素原子が付与されるか、電子を得る反応になっています。また、酸素原子が奪われる場合は還元反応、水素原子を失う場合は酸化反応です。
酸化反応・還元反応はひとまとめにして酸化還元反応と言われることもよくあります。化学反応では酸化反応が起こるときには、必ず還元反応も同時に進行しているからです。例えば、酸化銅(II)の水素ガスによる還元では、銅と水が生じます。この際に酸化銅に着目すると銅に変換されて酸素が失われていることから還元反応を受けたと言えます。しかし、水素ガスが水になるのは酸化銅から酸素を奪う酸化反応です。このように酸化還元反応では酸素、水素、電子の授受によって酸化を受ける分子と還元を受ける分子が等量存在します。
有機化学では酸化還元反応によって官能基の酸化段階を変えて合成を進めるのが一般的です。アルコールの酸化反応によってカルボン酸にすれば、アルコールとのエステル重合やアミンとのアミド重合ができます。このような酸化段階の調節に活用されているのが酸化反応・還元反応です。