アミド結合(amide bond)とはカルボン酸とアミンの脱水縮合によって形成される炭素―窒素結合です。広い意味ではカルボニル基とアミノ基によって構成される構造全体を指します。環状構造の場合には分子自体はラクタムと言いますが、結合を指すときにはアミド結合と呼ぶのが一般的です。
また、アミノ酸のカルボン酸とアミンが脱水縮合してできる結合はペプチド結合と呼ばれます。生体内ではタンパク質などのポリペプチドを生合成するのに重要な役割を果たしている結合です。アミド結合は加水分解に比較的強い性質があるため、生体内でも数千にも及ぶアミノ酸をポリマー化してタンパク質にすることができます。
アミド結合は窒素原子の非共有電子対とカルボニル基のπ結合が共役しているため平面性を持つのが特徴です。炭素―窒素にπ結合性があることから回転障壁が大きくなっています。そのため、窒素上の側鎖の方向によってs-trans型とs-cis型の立体構造が存在するのが一般的です。構造的な安定性がエステル結合などに比べて高いため、樹脂合成でもよく着目されています。
高分子分野ではポリアミド樹脂の合成でアミド結合による重合反応が活用されています。ナイロン6が代表例で、ε-カプロラクタムの開環重合によって合成されるのが一般的です。