射出成形の用語 用語集

【射出成形】ヒケとボイドの不良原因と改善対策

ヒケ(sink mark)は、一般的に肉厚が厚い部分を有する成形品において、またはリブ、ボス、内部フィレットなどの場所で樹脂の収縮によって発生する局所的な表面凹み関する成形不良です。また、表面にヒケが現れず、成型品内分に空洞・気泡ができる成形不良をボイド(voids)と言いいます。

ヒケとボイドの不良原因

ヒケ(sink mark)とボイド(voids)は、成形品の冷却時に十分な補正が行われていない肉厚部分での材料の局所的な収縮によって成形不良が発生します。ヒケは、ほとんどの場合、ゲートまたはリブの反対側近くの表面の押し出しによって発生します。これは、熱のバランスが取れていないなどの要因による成形不良と言えます。

ヒケ(sink mark)やボイド(voids)の成形不良につながる要因は次の通りです。

  • 低い射出圧力と保圧
  • 短い保持時間または冷却時間
  • 高い溶融温度または金型温度

外側の材料が冷えて固まった後、中の材料が冷え始めます。その収縮により、表面の樹脂が内側に引っ張られ、ヒケの不良が発生します。エンジニアリングプラスチックのように、表面硬度が十分に硬い場合、表面の変形は成形品内部のボイド不良の形成に置き換えられます。

ヒケとボイドの改善対策

ヒケ(sink mark)とボイド(voids)は、通常、部品と金型の設計と射出条件のいくつかの組み合わせを微調整して軽減・改善することができます。以下の内容を考慮して、問題を特定、または改善をしてください。

部品設計を変更し改善

  • ヒケ不良が発生する部分にセレーションなどの設計機能を追加してヒケを隠す。
  • 成形品の肉厚設計を修正して、肉厚の変動を最小限に抑えます。
  • リブ、ボス、ガセットの厚さを、ベースとなる厚さの50〜80%になるように再設計します。
  • 非結晶性樹脂を使用する。

金型設計を変更し改善

  • ゲートとランナーのサイズを大きくして、ゲートの凍結時間を遅らせます。これにより、より多くの材料をキャビティに充填できます。
  • ベントを追加するか、ベントを拡大します。通気孔は、空洞の内部に閉じ込められた空気を逃がします。
  • ゲートを肉厚が厚い部分またはその近くに再配置します。これにより、薄肉部が固化する前に成形できます。
  • ゲート本数を増やす。
  • キャビティの表面温度を少し低くする。

成形条件を調整し改善

  • 射出ストロークの終わりにクッションを増やします。 約3 mm(0.12インチ)のクッションを維持する必要があります。
  • 射出圧力と保持時間を増やします。
  • スクリュー前進時間を増やし、射出率を下げます。
  • 樹脂温度と金型壁温度を下げます。
  • 冷却時間を長くしてください。
  • 材料の漏れがないか、逆流防止リングを確認します。
  • 射出速度を速めに設定します。
  • 計量値を増やし改善を試みます。
このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-射出成形の用語, 用語集
-, , ,

関連記事

lca cfp

生分解性ポリエステル・バイオベース脂肪族ポリエステル とは

目次1 生分解性ポリエステル・バイオベース脂肪族ポリエステルの物性2 商業用のバイオベースまたは生分解性ポリエステル3 生分解性ポリエステル・バイオベース脂肪族ポリエステルの用途 生分解性ポリエステル …

lca cfp

配位子(ligand)とは

配位子(ligand)とは金属錯体の中心金属に対して配位結合している化合物です。金属イオンはさまざまな配位子による配位を受けて安定化されています。配位子はルイス酸性を持っていて空のp軌道やd軌道を持つ …

lca cfp

コポリマー(二元共重合体/copolymer)

一般的に共重合体とは、2種類以上のモノマー(単量体)を重合させ、ポリマー(重合体)にしたものを指します。但し、もう少しく説明すると、2種類のモノマー(単量体)を用いたものをコポリマー(二元共重合体)。 …

lca cfp

融点とは?【融点一覧表】

融点とは、熱をかけることで固体物質が液体に変わる転移温度のことを指します。樹脂プラスチックの中で、一般的に融点が存在するのは高密度ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性樹 …

蛍光X線分析:計測方法と使用機械

樹脂プラスチックの蛍光X線分析(XRF)は、非破壊で成分分析を行う手法として広く利用されています。環境規制(RoHS、REACH)や品質管理の観点から、材料中の有害物質や元素組成を迅速に確認する必要が …