以下に、一液性加熱硬化型接着剤、一液性常温乾燥型接着剤、二液性常温硬化型接着剤、ペースト、塗料などの導電性接着剤の特性をまとめた一覧表を作成しました。導電性接着剤の特徴は、樹脂結合剤の種類や硬化条件、導電材料の種類によって大きく異なりますので、主要な要素を網羅しています。参考データとしてご覧ください。
タイプ | 樹脂結合剤 | 導電材料 | 粘度 | 比重 | 硬化条件 | 体積抵抗率 | 硬度 | 初接着力 | 保存期間 | 主な用途 |
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一液性加熱硬化型接着剤 | エポキシ樹脂 | 銀、銅、カーボン | 低〜中(1000-5000 cPs) | 1.5-2.5 | 150-180°Cで30-60分 | 10⁻⁴〜10⁻² Ω・cm | 高(硬度70-90) | 強い | 6〜12ヶ月(冷蔵保存) | 電子部品、半導体接続、回路パターン形成 |
一液性常温乾燥型接着剤 | アクリル樹脂 | 銀、カーボン | 中〜高(2000-8000 cPs) | 1.2-2.0 | 常温で24時間 | 10⁻²〜10⁻¹ Ω・cm | 中(硬度50-70) | 中 | 6ヶ月(常温保存) | 局部修理、簡易的な電気接続 |
二液性常温硬化型接着剤 | エポキシ樹脂、ウレタン樹脂 | 銀、ニッケル | 中〜高(1000-6000 cPs) | 1.5-2.3 | 常温で24-48時間 | 10⁻⁴〜10⁻² Ω・cm | 高(硬度60-80) | 中〜強い | 6〜12ヶ月(個別保存) | 硬化後の高強度接続、耐久性が求められる接続 |
ペースト型導電性接着剤 | シリコーン樹脂、エポキシ樹脂 | 銀、カーボン、銅 | 高(5000-15000 cPs) | 1.3-2.5 | 80-150°Cで1-2時間 | 10⁻²〜10⁻¹ Ω・cm | 中〜高(硬度60-85) | 強い | 12ヶ月(冷蔵保存) | EMIシールド、ヒートシンク、回路修理 |
塗料型導電性接着剤 | アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂 | 銀、カーボン | 低〜中(500-3000 cPs) | 1.2-1.8 | 常温で数時間〜24時間 | 10⁻¹〜10⁰ Ω・cm | 低〜中(硬度40-60) | 中 | 6ヶ月(常温保存) | 電磁波シールド、アンテナコーティング、静電気対策 |
各項目の詳細説明
- 樹脂結合剤: 接着剤の基本的な構成要素。エポキシ樹脂やアクリル樹脂、シリコーン樹脂などが一般的です。それぞれ耐熱性、柔軟性、硬度に違いがあり、用途に応じて選定されます。
- 導電材料: 導電性を持たせるために使用される材料。主に銀や銅、カーボン(炭素)が使われます。銀は高導電性を持ちますが、コストが高い一方、カーボンは安価ですが導電性は銀や銅に劣ります。
- 粘度: 接着剤の流動性を示します。粘度が高いほど流れにくく、塗布が難しい場合がありますが、厚みのある層を形成しやすいです。
- 比重: 接着剤の重さと体積の比率。比重が高いほど、密度の高い接着剤になります。
- 硬化条件: 接着剤が完全に硬化するために必要な温度と時間。高温で硬化するもの(加熱硬化型)や、常温で硬化するもの(常温乾燥型)があります。
- 体積抵抗率: 導電性接着剤の導電性を示す指標。抵抗率が低いほど導電性が高くなります。低いほど電気を良く通します。
- 硬度: 接着剤が硬化後にどれだけ硬いかを示します。高硬度の接着剤は機械的な強度が高くなります。
- 初接着力: 接着剤がまだ硬化していない段階で、どれだけの接着力を発揮するかを示します。
- 保存期間: 接着剤の使用可能な期間。特に一液性の場合、冷蔵保存が必要な場合もあります。
- 用途: それぞれの接着剤がどのような用途に適しているか。主に電子機器、回路基板、静電気対策、EMIシールドなどに使用されます。
まとめ
導電性接着剤は、その種類によって硬化条件や導電特性、粘度などが異なります。用途に応じた適切なタイプの接着剤を選定することが重要です。高導電性が求められる場合は銀系接着剤が多く用いられ、より柔軟な用途にはカーボン系が使用されることが多いです。