樹脂プラスチック材料環境協会 / Resin & Plastic Materials Environmental Association

ほしい「原料・材料・素材・機械・加工・技術・環境ソリューション」を持つメーカーと、直接つながる / "Connect directly with manufacturers that provide the desired raw materials, components, machinery, processing techniques, technologies, or environmental solutions."

     

用語集

射出成形の成形温度(射出温度・整形温度)の一覧データ

樹脂プラスチックの射出成形では、各樹脂の種類に応じて最適な成形温度があります。成形温度は、材料の種類、金型温度、射出時の樹脂温度などに大きく影響されます。以下に、代表的な樹脂プラスチックの射出成形における成形温度の一覧参考表を作成しました。

樹脂プラスチックの射出成形温度一覧参考表

樹脂名射出温度 (°C)金型温度 (°C)備考
ポリプロピレン (PP)180~23020~70樹脂温度は用途により調整。低温で収縮が少ない。
ポリエチレン (PE)170~22020~70低密度(LDPE)と高密度(HDPE)で温度範囲が異なる。
ポリスチレン (PS)180~25040~70通常のPSと耐衝撃性PS(HIPS)で若干異なる。
ポリアミド (PA6, PA66, ナイロン)230~30060~90PA66は特に高温が必要。湿度の影響を受けやすい。
ポリカーボネート (PC)270~33080~120高温成形が必要で、金型温度も高めに設定。
ポリ塩化ビニル (PVC)160~20020~50加熱しすぎると分解のリスクがある。
アクリロニトリルブタジエンスチレン (ABS)200~25050~80耐衝撃性と成形安定性が良好。
ポリメチルメタクリレート (PMMA, アクリル)200~24050~70透明性が求められる場合は温度管理が重要。
ポリエチレンテレフタレート (PET)250~28080~120クリスタル化のため金型温度を高めに設定。
ポリブチレンテレフタレート (PBT)240~27050~80高温環境での耐久性が良い。
ポリウレタン (PU)200~23040~70柔軟で耐摩耗性がある。
ポリオキシメチレン (POM, ポリアセタール)190~23060~100高い剛性と低摩擦性を持つ。
ポリイミド (PI)350~400150~200非常に高温での成形が必要。高い耐熱性を持つ。
ポリテトラフルオロエチレン (PTFE)300~380200~300高温での加工が必要で、非常に高い耐熱性。
エチレン-プロピレンゴム (EPDM)160~22020~50耐候性と耐オゾン性が良好。
ポリフェニレンエーテル (PPE, PPO)280~33090~120耐熱性と耐薬品性が良好。
液晶ポリマー (LCP)280~320120~160高温での成形が必要で、複雑な形状にも対応可能。

成形温度に関する補足

  • 射出温度: 樹脂を射出成形機で溶融させるための温度です。この温度が高すぎると樹脂が分解する可能性があり、低すぎると流動性が不足し、成形不良の原因となります。
  • 金型温度: 成形品の冷却速度や結晶化に影響を与える温度です。金型温度が低すぎると収縮や歪みが発生しやすく、高すぎるとサイクルタイムが長くなり、成形効率が低下する場合があります。
  • 備考: 各樹脂の特性や用途に応じて、成形条件を最適化する必要があります。特に高温で成形する樹脂や、熱に敏感な樹脂では、温度管理が成形品の品質に大きく影響します。

まとめ

樹脂プラスチックの射出成形温度は、材料の種類や用途に応じて適切に設定することが求められます。成形温度を最適化することで、製品の寸法精度や物性を確保し、成形不良を防止することができます。また、金型温度も射出温度と同様に重要であり、成形品の品質や成形サイクルに影響を与えるため、慎重に設定することが必要です。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-用語集
-, ,

関連記事

lca cfp

生分解性プラスチック(Biodegradable plastic)とは

Contents1 生分解性プラスチックとは2 生分解性プラスチックと通常のプラスチックの違い3 生分解性プラスチックの作り方4 循環型社会を目指す上で欠かせない生分解性プラスチック5 生分解性プラス …

lca cfp

スパイラルフロー試験

射出成形機に特殊な金型を取り付け、溶融脂を射出し成形品をつくり、この成形品の状態から成形材料の流動性を試験する方法で、直接、射出成形機を使って、成形条件に合わせた試験ができます。 以下に、高密度ポリエ …

lca cfp

3員環エーテル構造を有するエポキシド(epoxide)

エポキシド(epoxide)とは3員環エーテル構造を有する有機化合物です。オキシランやオキサシクロプロパンとも呼ばれます。ひずんだ3員環構造を有するため、エポキシドは求核剤との反応によって開環反応が起 …

lca cfp

バイオポリマー(biopolymer)とは

バイオポリマー(biopolymer)とは植物や動物、微生物などの生物由来の原料から合成されるポリマーです。バイオポリマーは広義では生物が合成するタンパク質や核酸、多糖類などの天然高分子を含みますが、 …

lca cfp

【射出成形】反り(そり)の不良原因と改善対策

射出成形の反り(warpage)不良とは、冷却プロセスのある要件を原因として、成形品の形状が不良変形してしまうことです。金型の反りにより、成形品が折り曲げられたり、曲がったり、ねじれたりするなどの不良 …